3.11からほぼ1ヶ月後の4月、福島第一原子力発電所の避難指示区域と、宮城、岩手の地震、津波の被災地を歩いた。
巨大災害が同時に、しかも複合的に発生したことを実感した。
津波の被災地は、絨毯爆撃を受けた後の戦場のようだ。
見渡す限り瓦礫が散乱し、魚肉の腐臭が鼻をつき、津波が残した水溜りでは、大勢の警官、自衛隊員が行方不明者の捜索を行っていた。
一方、これとは対照的に、福島第一原発の避難区域には、一見穏やかな風景が広がっていた。
桜や桃の花が咲き、小川はきらきらと陽を受けて輝いている。
しかし、人はいない。
まさにレイチェル・カーソンの「Silent Spring」の世界だ。
この思いは、その後の5月と9月に被災地を訪れたときに、さらに強くなった。
災害には、地震や津波のような体感型と、原発事故やパンデミックのような非体感型がある。
続く