安全安心研究センター 安全安心研究センター

21世紀は災害の世紀といわれています。このたびの東日本大震災でも明らかになりましたように、東北地方の太平洋沿岸で超巨大地震が起こることは、想定外でしたし、その結果、2万7千人もの死者・行方不明者を出す巨大津波が襲来することも想定外でした。 ましてやその結果、福島第一原子力発電所の6基の原発中4基までが大事故を起こし、25年前のチェルノブイリ原発事故と同程度のレベル7の原子力災害を引き起こすなど、誰が想像したでしょうか。

地震を含めて全ての大災害は想定外のところで起こっています。 たとえば、過去30年間で10人以上の死者を出した地震は、全て想定外の場所で起こっています。いつ、どこで、どのような災害が起こるか、ほとんどわからない時代に私たちは生きています。 それゆえに、私たちはどのような災害が起こっても、それをより軽く受けながし、迅速に回復する「災害弾力性」を持つ必要があります。この社会には、完全な安全はありません。したがって、完全に安心できる状況はどこにも見つかりません。私たちには災害に備える覚悟が必要です。

自然災害

地震や火山の噴火、津波、洪水などは災害因である。地穀災害因や気象災害因の発生はそのままでは災害には直結しない。そこに被害を受ける人々がいて、コミュニティがあり、災害因のもたらすインパクトを受け止めきれず、適応不全の結果として被害が生じる。この時にはじめて災害が発生することになる。災害と被害はイコールである。

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人為災害

人為災害の災害因は人間の営為そのものである、バラ色の夢をもたらすクリーンなエネルギー資源と喧伝されて始まった原子力発電が、実は原爆そのものであることを、スリーマイル島事故、チェルノブイリ事故、福島第一原発事故は教えてくれた。人為災害のリスクについては不断に注意を怠らずチェックをかけていく必要がある。

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パンデミック

新型コロナウイルス感染症、エイズやサーズ、ほぼ100年前のスペインインフルエンザなどのような新興感染症のパンデミック(感染症の大流行)は、広い意味での人為災害に含まれる。パンデミックの渦中ではさまざまなデマ情報が拡散するが、偽情報に惑わされず冷静な判断力を持つことが重要であり、正確な情報が「知的ワクチン」としてパニックに陥る危険性を抑止する。

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正常性バイアス、同調性バイアス

少々の異常を正常の範囲として認識することで、心的な安定を保つメカニズムを「正常性バイアス」と呼ぶ。災害時に避難を促される状況下で、逃げ遅れて被害をこうむる最大の理由である。我々がおちいりやすい認知的な罠である。
「同調性バイアス」とは、どのような行動が適切か迷ったとき、周囲の人と同じ行動をとることが安全であると認識する心的メカニズムである。

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リスクへの接近と回避

世界の歴史に名を残した者たちの多くは「リスク」愛好者である。危険に直面したとき、後退したり回避したりせず目標に向かい、意志を貫き通す強い信念や意欲、行動力は、リスクに魅せられた者たちが持つパワーであり意志の力である。リスク愛好者はなぜあえてリスクに立ち向かうのか。人間心理の面白いところだ。

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どのような災害が発生しても、それに耐えうる社会や個人を創っていく必要があります。これらを具体化することが「安全・安心研究センター」の設立の目的です。


安全・安心研究センター 代表


広瀬 弘忠