福島第1原子力発電所の事故は、欧米を中心に、国際的な脱原発ムードを高めた。 他方、国内的には、広範囲にわたる放射能汚染による健康障害と、福島県を中心とする東北3県からの人口流出、経済基盤の弱化、放射性物質による汚染地域としての…
だが、その後は、地震、津波、原子力事故に起因し関連する幾多の災害因が派生し、東北地方を中心に、さまざまな関連災害を水紋状に日本全国に拡散させていった。 特に、福島第1原子力発電所の事故は、そのなかの最大の事象であった。 災害の終息までに数十…
現代は複合災害の時代である。ひとつの災害がドミノ倒しのように次々と新たな災害を引き起こす。 しかも、この災害連鎖は線状に並ぶだけではなく、多くの場合、2次元の面としての広がりをもって伝播して社会の脆弱性をあぶり出していく。 そして、あとに続…
福島へのインパクト 福島県は、北海道、岩手県に次ぐ日本で3番目に面積の大きな県である。人口は全国で18位(2010年データ)、65歳以上の老齢人口は、全体のほぼ4分の1である。東日本大震災以前から過疎化と高齢化が進んでいた。県…
原発災害の難しさ 放射性物質の流れをシミュレートしたスピーディの結果が示すように、環境中の放射線量は、地形や放射性物質の放出時の風向き、降雨・降雪などの条件により大きな影響を受ける。60キロも離れた福島市や郡山市の方が、20…
原発災害は福島に何をもたらしたか 今回の原発災害のもとは、東京電力福島第一原子力発電所で発生した事故である。この原発は、普通には福島第一原発と呼ばれる。東京電力では福島第一原発をF1、第二をF2と呼ぶ。だが地元の人々は憤を込め…
被曝への不安は弥漫びまん的である。そして、とらえようがないだけ、心身への危害性は大きい。下図は、既述の我々の全国調査で、原発事故による放射線への不安の程度を聞く質問への回答分布を示している。「非常に不安である」と「かなり不安である」とを合わ…
地震と津波と原発災害の複合 3.11以来、私は東日本大震災の被災地を4回訪れて調査を行った。何といっても、最大の被災地は福島県である。地震と津波による大打撃を受け、しかも原発災害で甚大な被害をこうむっている。 われわれが東日本…
過去30年間に日本で発生した被害地震(死者10人以上)のすべてが想定外の地域で起こっていると言ったのは、ロバート・ゲラー東京大学教授だ(Nature,472,7344)。6,400人の死者・行方不明者を出した1995年の阪神大震災にしても、…